スノーボール/書籍~ウォーレン・バフェット伝

著名な投資家ウォーレン・バフェット公認の伝記。

投資は雪玉(スノーボール)を転がし続けるようなもの。
雪がつく場所を選び、下り坂を選び、長い間押し続ければ、巨大になる。

新聞配達などで得た元手をシケモク銘柄に投資し、企業を経営し、
そのキャッシュフローで投資をさらに広げていく。
倹約に努め、リターンを再投資し、
複利効果で数兆円にものぼる資産を一代で築いた。
しかし、お金儲けは好きでも、お金が好きなわけではない彼は、
資産のほとんどをビル・ゲイツ財団に寄付する。
強欲で腐敗した金融業界への痛烈な批判だ。

彼をお手本にするなら、投資の(最終的な)成功は、
  「自分の理解できる投資対象が割安になる時期を待ち、投資したら長期間保有する」
だろうか。

ただ、本書は上下巻合わせて1400ページ程度あり、
(伝記なので)投資以外のプライベートな話も紹介されている。
投資手法に興味ある方は別の本を読んだ方がいいだろう。

 

インサイド・ジョブ/DVD~米発金融危機はなぜ起きたか

米発の金融危機の核心を突く内容だ。
関係者へのインタビューやニュースに基づいて、制作されている。

どのように経済と金融の規制緩和が進められたか? なぜ政府はそれを推進したのか?
ローンの証券化は貸し手の行動をどう変えたか?
なぜ格付け会社はサブプライムローンを含むCDOに最上級の評価を与えたのか?
一部の人々がデリバティブの危険性を指摘したのに、なぜ米当局やFRBは規制強化しなかったのか? なぜ一部の経済学者は安全だとレポートしたのか?
なぜ金融機関は顧客に販売した商品(CDO)の保険(CDS)を購入したのか?

本作を見ると、利益が相反するはずの関係者が見返り(報酬や寄付、献金など)によって結びついていたことがはっきりする。
例えば、アイスランド関連の機関から報酬をもらってレポートを書いた米経済学者は、アイスランドの金融機関を健全だと評価した。
格付け会社は発行体からの報酬で(最上級の)格付けをした。
政治家や政府の監督機関は金融機関のために働いた。

結果として、緩くなった審査基準で実行された住宅ローンの貸付は最上級格付けを与えられた証券化商品となり、ローリスクハイリターンという肩書で投資家に売却され、世界中に広まった。

ぼろ儲けの金融機関は大いに繁栄するも、ローンの焦げ付きが目立ち始め、資金繰りに行き詰まり、破綻した。

責任のない高報酬が続くと、脇(考え方)が甘くなる。

人間の強欲が原因だ。